湾岸戦争は核戦争だった
ビデオ「劣化ウランの恐怖」紹介
「統一の旗」（98年４月24日号）所収
一九九一年の湾岸戦争でアメリカは初めて、劣化ウラン弾を使用した。イラク軍戦車への有効な武器として、多数の戦車を破壊し、イラク軍兵士を殺戮した。ドキュメンタリー・ビデオ『劣化ウランの恐怖−湾岸戦争でアメリカは何をしたか−』は、湾岸戦争に従軍した女性元兵士の証言やイラクの子どもたちに発生した被害の実写映像などを通して、今なお続く劣化ウランによる被害とアメリカの犯罪行為を告発する。
最前線の野戦病院に勤務した女性兵士キャロル・ピコーは帰国後、脳障害と甲状腺異常に襲われる。生まれた子どもには、甲状腺がなかった。ピコーの部隊百五十人のうち、四十人が病気に苦しみ、六人が自殺・心筋梗塞・癌などで命を失った。兵士の子どもたちも先天性の欠損症をもって生まれている。兵士に何があったのか、なぜ病気になったのかとピコーは調査を開始。しかし、ペンタゴン（米国防総省）は、検査・面会・質問への回答のすべてを拒否した。アメリカ政府は事実が知られるのを恐れ、すべてを隠蔽する態度に出たのだ。湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾は戦車から四千発、空から百万発にも及び、放射線を出すその破片や微粒子がイラク全土を汚染した。その結果、イラクでは現在でも、子どもたちの間に奇形児・先天性欠損症児・白血病・癌が多発している。ある村では、過去四年間で二十人もの奇形児・先天性欠損症児が生まれている。父親たちは兵士として戦場にいたのである。
◎兵器産業の陰謀
ペンタゴンと巨大兵器産業は、ベトナム戦争の枯れ葉剤ダイオキシンに匹敵する劣化ウラン弾を使用し、湾岸戦争を兵器の展示場とした。宣伝は成功し、多くの国が劣化ウラン弾の購入を押し進めているのだ。
ビデオでは、劣化ウラン弾使用への怒りの声が相次いで紹介される。オーストラリアの医者で反核活動家のヘレン・カルディコット（写真）は「湾岸戦争は核戦争だった。湾岸大虐殺と呼んでいる」と指摘する。
このビデオは、隠されていた劣化ウラン問題をアメリカの市民運動が暴露した運動の中で、九七年に制作された。最後に、「ペンタゴンが恐れているものが一つだけある。それは、民衆が情報を持ち、怒りを結集することだ」（セーラ・フランダース国際行動センター副事務局長）などの声を紹介し、団結の力で核兵器使用・軍拡政策にストップを、と呼びかけている。
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